僕と家族と逃げ込み家
　◇◇◇　◇◇◇

「はぁぁぁ、心地いい疲れ、爽快！」

母がソファの上で寝ころびながら大きく伸びをする。

「先生、お風呂にちゃちゃっと入って、お布団で寝て、明日からしっかり仕事して下さいよ」

トヨ子ちゃんのお小言が子守唄に聞こえる。
太陽の下で一日過ごすといつもこうだ。

まったりと倦怠感に包まれた身体を一人掛けのソファに預けながら窓の外を見る。

オレンジ色に染まり始めた空とグレーに翳り始めた空。そのコントラストの美しさに目を奪われジッと見つめる。

有り触れた景色をこんなふうに美しいと思える僕は、何だかんだ言いながら幸せなのかもしれない。

ふあぁぁぁと欠伸を繰り返す。

『バイバーイ、明日またね』

家々の前で子供たちは車から降り各々の家に戻って行った。皆、笑顔を携えて。

「春太君もお風呂に入ってベッドで休んで下さい。ここでは風邪を引きますよ」
「……うん……了解」

「先生！　春太君！」トヨ子ちゃんの声が遠くなっていく。



日々いろいろあるけど、僕の居心地いい場所はここなのだと改めて思う。
家族のいる……ここ。

皆も今頃、きっと心地いい場所でまったり過ごしているだろう。
今日の思い出を胸に……。
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