僕と家族と逃げ込み家
その日の夜遅く、恵から〈幸助、『行きたーい』って大喜びだったよ〉と電話が入る。

〈だから、明日、午前六時、お福に集合!〉
「ヘッ! 早速、明日、六時!」

今、何時だと思っているんだ。あと八分で明日だぞ。

〈あっ、朝食食べてこなくていいから〉
「何でだ?」
〈喜子さんが、朝食とお弁当作ってくれるって〉

ウワッ、それは期待大だ!
僕の嬉しさが伝わったのか、電話の向こうで恵がクスクス笑う。

〈モーニングをお福で頂いて、守さんの車でスイーツランドに出発します!〉
「ヘッ! 叔父さんまで誘ったの? ゴールデンウイークなのに」

いつの間に!

〈あら、二つ返事でOK貰ったわよ〉

叔父さーん、店サボったらトヨ子ちゃんに叱られるよ、ったく!

〈それに、電車だったら往復するだけで時間がかかって、遊ぶ時間が少なくなっちゃうじゃない〉

電車なら乗り換え云々で、片道……二時間ぐらいかなぁ。まっ、それもそうだが、ゴールデンウイーク中は、公共の交通機関を使った方がいいのでは?

「逆に渋滞に嵌って遅くなるんじゃ?」
〈だから早く行くんじゃない〉

あっ、そう。恵に反抗しても無駄だった。口ではコイツに敵わない。
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