僕と家族と逃げ込み家
バーベキューの時、あいつはすっごく嬉しそうだった。
その時の笑顔を思い出すと顔が綻ぶ。だから、今度も見たいんだ。あいつの嬉しそうな顔を。

「よし! 明日は……ん? もう、今日か。今日はめいっぱい遊ぶぞ!」

ふぁぁぁと欠伸を一つ零し、僕はようやく訪れた睡魔と共に夢界に旅立った。



翌日は青空が広がる見事な五月晴れになった。

「喜子さんの朝ご飯、最高だったなぁ」
「当たり前だ、母ちゃんのご飯は最高だ」
「お弁当も、ほら、こんなに」

後部席に座る恵が、前席に身を乗り出して籐の篭を見せてニッコリ笑う。

「昼が楽しみだなぁ」と言えば、「私、ダイエットしてるのに」と恵が情けない顔をする。

「ダイエット! 止めろ止めろ」

叔父の言葉に恵はプクッと膨れると、叔父が慌てて言葉を付け足す。

「恵ちゃんはダイエットしなくても十分可愛いから」
「あらそう」
「うん、メグちゃんは超可愛い! 俺の彼女にしてやるよ」

幸助がニコニコ顔で言うと、恵が残念そうに言う。

「申し出は嬉しいけど、幸助君にはもっと若い子がお似合いだと思うわ」
「まぁ、そうだな、恵ちゃんには少し上ぐらいの奴の方が似合いかな」

運転席から叔父が、意味深にチラリとこちらを見る。

何だ?
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