僕と家族と逃げ込み家
「う……うん」と健太はモゾモゾと幸助の隣に座る。

その様子が何だか可笑しくて、口元を緩めていると健太が口を突き出して不貞腐れたように言う。

「先生は恵ちゃんと仲直りしたの?」

ゲッ、お鉢がこちらに回ってきた。

「あっ、ああ、ちゃんと仲直りしたぞ。なあ、恵」

「まあね」と恵はニンマリ笑う。
ふーんと疑わし気に見ながら健太が幸助に話しかける。

「ビックリした。まさか来ているとは思っていなかった」
「日帰りだけどな」

幸助がニヤリと笑う。

「じゃあ、お土産いらないね」
「買ってくるっていう約束だろ。約束は守れ」

ちゃっかりしているな、と思っていると幸助がぶっきら棒に言う。

「俺も買うから……交換だ」

健太の顔がパっと明るくなる。

「うん! 仲直り記念にだね」

へー、幸助、いいこと考えるじゃないかと思っていたら、横から茜が言う。

「じゃあ、先生も恵ちゃんと交換しなくっちゃ」

はぁ? 何で僕たちまで。それでなくても僕はこれから恵の勉強を見てやるんだぞ。
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