僕と家族と逃げ込み家
あのあと、笹口と美山に愚痴を言ったら、『本当、春太は人がいいな』と言われた。
だから、言い返してやった『フン、お人好しこそ世界を救うだ。お前たちも僕を見習え!』と。
二人は顔を見合わせて『どこを見習えって』と肩を竦めたが、『春太より俺を見習った方がいいぞ』の叔父の言葉に益々腹が立った。
やりたい放題、言いたい放題、本当、悪の権現め!
「でぇ? 今日、僕たちを呼び出したってことは助けを求めているのかなぁ?」
まったりとコーヒーを啜りながら、ニヤニヤ笑う二人に、悔しいが……。
「答えはYESだ」
当たり前だろう。口を利かない子の扱いなんて分からない。
今日は初日だ。心細くなるのも当然だろう。
なのに、何だ?
笹口はニッと片唇を上げると、「任せなさい!」と自信満々に胸を張る。
「そう言えば」と思い出す。
「笹口って弟と妹がいるんだったな」
「だから、懐が広いんだね」
美山が柔らかく微笑む。
本当に美人だ。男だけど……。
「で、サイレント姫はいつ来るのかな?」
「四時。もう来ると思う」
壁の掛け時計に目をやる。
「せんせ~い! ここ分かんない」
デッドスペースから、健太の呼ぶ声が聞こえる。
だから、言い返してやった『フン、お人好しこそ世界を救うだ。お前たちも僕を見習え!』と。
二人は顔を見合わせて『どこを見習えって』と肩を竦めたが、『春太より俺を見習った方がいいぞ』の叔父の言葉に益々腹が立った。
やりたい放題、言いたい放題、本当、悪の権現め!
「でぇ? 今日、僕たちを呼び出したってことは助けを求めているのかなぁ?」
まったりとコーヒーを啜りながら、ニヤニヤ笑う二人に、悔しいが……。
「答えはYESだ」
当たり前だろう。口を利かない子の扱いなんて分からない。
今日は初日だ。心細くなるのも当然だろう。
なのに、何だ?
笹口はニッと片唇を上げると、「任せなさい!」と自信満々に胸を張る。
「そう言えば」と思い出す。
「笹口って弟と妹がいるんだったな」
「だから、懐が広いんだね」
美山が柔らかく微笑む。
本当に美人だ。男だけど……。
「で、サイレント姫はいつ来るのかな?」
「四時。もう来ると思う」
壁の掛け時計に目をやる。
「せんせ~い! ここ分かんない」
デッドスペースから、健太の呼ぶ声が聞こえる。