僕と家族と逃げ込み家
「塾長の若月春太です。彼は、時々手伝いに来てくれる笹口哲也で、あの観葉植物の向こうにもう一人、美山薫という者がいます……」
「そして、私はこのカフェ『逃げ込み家』の店主、間宮守です」
なかなか紹介されない叔父が、勝手に自己紹介を始める。だが、親子は僕に会いに来たのだ。今は引っ込んでいて欲しい。
叔父のことは無視して、母親に隠れジッとこちらを見る少女に目を向ける。
僕の視線に気付いた母親が、少女の背に手を添え自分の前に立たす。
真っ黒で大きな瞳が真っ直ぐに僕を見つめる。小柄だが芯の強そうな可愛い子だ。
「娘の二胡です。よろしくお願いします」
二胡は父親似だろうか? フンワリとした柔らかな母親の雰囲気がこの子にはまるでない。まるでサボテンだ。触れれば棘がチクチク刺さりそうだ。
僕が彼女を観察している間に、いつの間にか笹口は膝を床に着け、目線を二胡に合わせると挨拶を始めていた。
「初めまして、二胡ちゃん」
普段は雄々しい強面なのに、何というか今は『兄』に見える。
「そして、私はこのカフェ『逃げ込み家』の店主、間宮守です」
なかなか紹介されない叔父が、勝手に自己紹介を始める。だが、親子は僕に会いに来たのだ。今は引っ込んでいて欲しい。
叔父のことは無視して、母親に隠れジッとこちらを見る少女に目を向ける。
僕の視線に気付いた母親が、少女の背に手を添え自分の前に立たす。
真っ黒で大きな瞳が真っ直ぐに僕を見つめる。小柄だが芯の強そうな可愛い子だ。
「娘の二胡です。よろしくお願いします」
二胡は父親似だろうか? フンワリとした柔らかな母親の雰囲気がこの子にはまるでない。まるでサボテンだ。触れれば棘がチクチク刺さりそうだ。
僕が彼女を観察している間に、いつの間にか笹口は膝を床に着け、目線を二胡に合わせると挨拶を始めていた。
「初めまして、二胡ちゃん」
普段は雄々しい強面なのに、何というか今は『兄』に見える。