JUNP!!

優しい嘘

目覚まし時計が鳴った｡
ベッドの上で丸くなっていた男
はそれを止め､大きく伸びをして
姿を現した｡

男の名前は青木爽悟｡
９月から私立高校の教師をする
ことになった新米教師である｡

彼が赴任する高校は聖海学園｡
大金持ちのご子息やご令嬢が
多く在籍し､様々な業界で有名な
生徒が集まっている｡

その上､進学率は全国トップで
全国でも有名な進学校である｡

「ヤベっ…遅刻やん!!」爽悟は
素早くバッグを持ち､急いで家
を飛び出した｡

学校からアパートまでは近い｡
走れば､何とか朝の会議に間に
合うハズだ｡

走る爽悟の脇を走っていくのは
高級そうな外車ばかり｡

それもそうだ｡
学校の門の前には多くの生徒と
立派な送迎車｡

「…あかん!!遅刻やって」見た
ことのない景色に見とれていた
爽悟は我に帰ると､一直線に
職員室へ向かった｡

「…おはようございまーす」
そそくさと職員室に入ると､まだ
会議は始まっていないようで､
爽悟はホッと胸を撫で下ろした｡

「おはようございます」すると
すぐに校長が現れ､皆ぼそぼそと
挨拶を返した｡

「本日から新任の青木先生が
３年Ｃ組の副担任をなされます｡
皆さん､よろしくお願いします」