JUNP!!
外は雨が降っていた。
澪は爽悟の車の助手席にいた。

「昨日な。優詩って男の子の母親
が学校に来て,お前らの居場所を
聞いて行ったんや」黙り込む澪
に言う爽悟。

「…斗和が教えてくれた。そんで
謎が解けた…」爽悟は言った。

雨粒が車を激しく叩き,小さな
リズムを刻んでいた。


優詩を手を繋ぎ,葉崇は黙って
歩いていた。

優詩は分かっているのだろうか。

優詩は所々現れる水溜まりを
蹴って,楽しそうに葉崇達を
見上げる。

紙に書かれた家の前で止まり,
葉崇は紙を握りしめた。

「葉崇…大丈夫か…?」音緒は
静かに言った。

葉崇が無言で頷いたのを確認
すると,音緒はインターホンを
ゆっくりと押した。

ピンポーンという軽快な音と共
に少しの沈黙があった。
そして玄関のドアが開いた。

現れたのは若い男。恐らく,優詩
の母親の再婚者だろう……
険しく表情で葉崇達を見つめ,
微かに頭を下げた。

「優詩…じゃあな…」誠が優詩
の頭を撫で,優しく言った。

分かった様に優詩は頷いて,
何処か寂しげな表情を浮かべた。
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