RAINBOW
01.くもり
トマトパスタ
午前の授業も終わり、空いた食堂でお気に入りのトマトソースのパスタをちひろは静かにすすった。
空いた食堂、と言っても空いているのはちひろの前の席や隣の席だけで、食堂は人々の話し声でざわついている。
笑い話で盛り上がるクラスメイトを横目に見て、食器を返却所に返し、賑わう食堂を後にした。
教室に戻り、自分の机の引き出しから童話の本を取り出して熱心に読み始める。
岡谷ちひろはそういう人だ。
ちひろの通っている私立大学附属高校は、都内でも有数の難関校で名門校。
父は医者、母は教師とエリート公務員の両親から生まれ、親の薦めたこの高校に進学を決めて受験し、見事合格した。
それから茨城の実家から一人で上京し、今も都内の田舎のほうにあるアパートで一人暮らしをしている。
親の言うとおりに進学するのは別に苦ではなかったし、東京は日本一の大都会なので上京は逆に楽しみだった。
栗色で柔らかくウェーブした髪、そして垂れ目のくっきり二重。
しかも童顔なので、高校生にしては幼い顔をしている。
空いた食堂、と言っても空いているのはちひろの前の席や隣の席だけで、食堂は人々の話し声でざわついている。
笑い話で盛り上がるクラスメイトを横目に見て、食器を返却所に返し、賑わう食堂を後にした。
教室に戻り、自分の机の引き出しから童話の本を取り出して熱心に読み始める。
岡谷ちひろはそういう人だ。
ちひろの通っている私立大学附属高校は、都内でも有数の難関校で名門校。
父は医者、母は教師とエリート公務員の両親から生まれ、親の薦めたこの高校に進学を決めて受験し、見事合格した。
それから茨城の実家から一人で上京し、今も都内の田舎のほうにあるアパートで一人暮らしをしている。
親の言うとおりに進学するのは別に苦ではなかったし、東京は日本一の大都会なので上京は逆に楽しみだった。
栗色で柔らかくウェーブした髪、そして垂れ目のくっきり二重。
しかも童顔なので、高校生にしては幼い顔をしている。