nocturne -君を想う夜-
歩き慣れた道を歩き、行き慣れたコンビニへ行く。
若者達のたむろするコンビニは、ある意味で彼らの居場所なのかもしれない。
若い頃には何処にも居場所がないように感じることが多くて、そんな風に感じるのがまた自分だけのように思えて。
焦燥感だとか、孤独感だとか、訳も分からない大きな渦に巻き込まれないように必死になって。
人と同じであることへの安心感とか、逆にはみ出していることに意義を持たせたりなんかして。
大人になってもそういうのは案外変わらないのだけれど、振り返ってみれば懐かしくも感じる。
最近の若者は、何て言ってみたところで実際のところ、私たちだって似たような想いを抱えながら必死だったはずだ。
入り口付近でしゃがみこんで話している、そんな彼らを素通りして中へ入るとやる気の見えない店員の事務的な挨拶に迎えられた。
最近のコンビニはお弁当だけじゃなくてお総菜も豊富。
何を買おうか、なんて悩みたくなるくらいだ。
冷蔵コーナーで自分にだって作れる程度のパックに詰められたお総菜を物色して、結局、サバの味噌煮とゴボウのきんぴらを手に取った。
なんだかなぁと思いつつ、ドリンクコーナーでいつもいる店員さんに「今晩は、お疲れさまです」なんて声をかけられちゃったりして、ああ私って寂しそうに見えるのかな?なんて思いながらも笑顔で「お姉さんも頑張ってね」と返してしまう。
今日は飲めないお酒でも飲んでしまうか、と、ドリンクの冷蔵庫の扉を開けた。
手にしたモスコミュールはよく冷えている。
そのままレジに持っていくと、さっきのお姉さんがにこやかにお会計をしてくれた。