私のご主人様Ⅲ

現実に引き戻さなければ意味がねぇ。

自白させるためにやってるのに、壊れられたらこれの意味がなくなる。

琴音が怖がると分かっていてやっている意味がなくなってしまう。

手を止める。琴音の目は虚ろで視点が合わない。

「琴音」

「…」

「…ッチ」

戻ってこねぇ。…正気に戻るまでダメか。

琴音の目を覆い隠し、布団を掛けなおす。

「うあ…」

「寝ちまえ。今日はもういい」

「…」

視界が塞がったことへの恐怖か、琴音は震えながらも動こうとしない。そうしてしばらくすると震えは止み、琴音は浅いながらも眠りについたようだ。

そっと手を離す。今起きてパニックになられるのは困る。

それにしても分からねぇ。琴音が俺に従わないのも、勝手な行動をしたことも。

一体、何を隠してやがるって言うんだ。
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