私のご主人様Ⅲ

琴音の顔を見て、また舌打ちする。

面倒ばかり起こしやがって…。いっそのこと学校に行かせず、家庭教師かなんかつけるか。

本気で考え始めたとき、襖の向こうから声がかかる。

「若、入っていい?」

「…あぁ」

許可を出すとすぐに顔を見せたのは信洋だ。

信洋はベッドに寝かせた琴音を一瞥したのち、険しい表情で俺を見る。その顔は、何かを確信してる顔だ。

「…若に言わなきゃいけないことがある」

その一言から切り出された言葉に、俺はしばし自分の耳を疑うことになった。

そして解決する。

琴音の不審な行動も、最近連続で起こる不可解な襲撃も。

「…で、若どうする?」

「…」

全てを聞き終え、信洋は尋ねてくるが、それは指示を請うものではなく、単なる確認に過ぎない。

ベッドに横たわったままの琴音を見つめ、一巡したが答えは決まりきっていて。

「…信洋、準備しろ」

「りょーかい」

明日に備える準備を進めるのみだった。

季龍side end
< 103 / 286 >

この作品をシェア

pagetop