私のご主人様Ⅲ
琴音の顔を見て、また舌打ちする。
面倒ばかり起こしやがって…。いっそのこと学校に行かせず、家庭教師かなんかつけるか。
本気で考え始めたとき、襖の向こうから声がかかる。
「若、入っていい?」
「…あぁ」
許可を出すとすぐに顔を見せたのは信洋だ。
信洋はベッドに寝かせた琴音を一瞥したのち、険しい表情で俺を見る。その顔は、何かを確信してる顔だ。
「…若に言わなきゃいけないことがある」
その一言から切り出された言葉に、俺はしばし自分の耳を疑うことになった。
そして解決する。
琴音の不審な行動も、最近連続で起こる不可解な襲撃も。
「…で、若どうする?」
「…」
全てを聞き終え、信洋は尋ねてくるが、それは指示を請うものではなく、単なる確認に過ぎない。
ベッドに横たわったままの琴音を見つめ、一巡したが答えは決まりきっていて。
「…信洋、準備しろ」
「りょーかい」
明日に備える準備を進めるのみだった。
季龍side end