私のご主人様Ⅲ

「熱計れる?」

「…」

「葉月さん、荷物持ってくるから」

慌ただしく動く先生と麻夏くんに申し訳ないと思うのに体は素直で眠たさに負ける。

気づいたら眠ってしまっていて、次に目が覚めると傍にいたのが舛田で、悲鳴を上げかけた。

「大丈夫か?」

…心配、してくれるんだ。

意外性に目を丸くさせていると、不満そうな顔で返される。

「そこまで薄情じゃねぇよ」

「…」

「で、なんで来れた?」

舛田の問いは最もだ。

昨日、私は他でもない季龍さんに舛田との接触がバレ、その体裁をその場で受けたのだから。

だから、今日“季龍さんがいない学校”に来られるのはあまりに不自然だ。
< 105 / 286 >

この作品をシェア

pagetop