私のご主人様Ⅲ
そんなこと分かってる。
でも、だからと言って納得できない。私だけ切り捨てられるのを前提に話が進むのも、私が後戻りできない状況にあることも…。
「いいな、琴葉チャン?」
「…コク」
舛田の書いたシナリオに従うしか、術がない。
私が頷くのを見るなり舛田は席を立ち、保健室を出ていく。
残されたのは、危険性も分からない睡眠薬が入ったガラス瓶だけ。
それを制服のポケットに押込み、目を閉じる。
失敗すれば、死ぬかもしれない。いや、死んだ方がずっとましかもしれない。
今夜、すべてが決まる。
自分にのしかかった重責にきつく目を閉じて少しだけ現実を逃避した。