私のご主人様Ⅲ

結局、先生の判断で早退させられ、迎えに来た信洋さんに抱き抱えられて屋敷に戻ってきた。

暁くんが飛んできて、バカと言われながら部屋に寝かされた。

「微熱だけど、無理すんなよ」

悪態をつきながらも暁は傍にいてくれて、手を伸ばせば握り返してくれる。

…怖い。

これから自分がしようとしていることも、人を裏切ることも…。

「琴音ちゃん、大丈夫なの?」

「奏多さん!?動いて大丈夫なんすか」

「あーうん。俺はね」

奏多さんは自然な動作で暁くんの隣に座り、頭を撫でてくれる。

その手にすがりたい気持ちも、消えない恐怖もごちゃ混ぜになっておかしくなってしまいそうになる。

それでも、やるしかないと自分を奮い立たせ、差し迫ったリスクを見ないふりをすることしかできなかった。
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