私のご主人様Ⅲ

先に入った男たちは組員が眠っている部屋に入っては出るを繰り返す。

その手に手錠があるのを見て、拘束しているのだと何となく察した。

そんな彼らを無視して舛田は進む。半分引きずられるように歩きながら、向かう先が徐々に明らかになっていく。

「…」

向かう先は離れ。組長の、永塚 源之助の部屋だ。

散り散りになりながら、最終的に離れへ続く道へ進むのは舛田と自分を含めて4人。

1人が先行し、舛田が中央、殿が1人と警戒を怠らない隊列のまま、源之助さんが眠る部屋の前にたどり着く。

その時、カチャリ聞き慣れない音が耳をつく。視線を向けるなり目を疑った。

拳銃だ。詳しい種類は全く分からないけど、とにかくそれは拳銃で間違いないことだけは分かる。

待って、この人たちは源之助さんを…。

「あ~組長は殺すよ?むしろ、組長だけしか殺さないから安心していいよ」

平然と、その事に問題がないというように舛田は口にする。

人を殺すことを、あまりに軽く口にする。しかも、それは冗談でもなく本気だ。
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