私のご主人様Ⅲ
無意識に足が下がる。だけど、それを舛田は逃さない。
「ダメダメ。琴葉チャンは、自分のした決断を見届けなきゃ。ね、そうだろ?」
殿を勤めていた男を手を動かしただけで呼んだ舛田は、そのまま銃の確認を始める。
両手を後ろに回され、拘束される。手錠こそつけられなかったけど、とても逃げられそうにない。
準備を終えたらしい舛田は銃を構える。
閉じられていた襖が開け放たれる。
そして、部屋の中央に引かれた布団の、塊に向かって舛田はなんのためらいもなく発砲。
発砲、発砲、発砲、発砲…。
立て続けに耳を裂く音を出した銃は硝煙を上げ、火薬の臭いが鼻を突く。
「いいんすか?全弾打ち切っちまって」
「殺すのはこいつだけだ。問題ない」
「っは、伝説とか騒がれてた割に、ずいぶんあっさりいったもんだ」
月明かりに照らされた布団を見る。
ピクリとも動かないそれは、モノとしか言えなくて、躊躇なしにそれをやった舛田がひどく恐ろしい。