私のご主人様Ⅲ
呆然とそれを見つめていると、頭に重みが乗る。
頭をなで回す手は、今まさに人の命を狙った手だ。
「琴葉チャンがこうしたんだよ?俺たちに協力して、キミは止めなかったんだからさぁ」
ゾクリと体を包んだのは恐怖。
あぁ、そうか。この人は、この人たちは、初めから私を逃がす気なんてさらさらなくて、はじめっから利用されるだけだったんだ。
担がされたのは殺人の一端。罪を犯した私は当然、お父さんたちのところには帰れない。帰さないつもりだったんだ。
よくできた筋書。こいつに乗った時点で私逃げ場なんかない。そういう筋書だったんだ。
…。
「よし、戻るか。そろそろ睡眠薬が切れてくるやつがいそうだしな」
手の拘束は外され、再び肩に手が回る。
その時。