私のご主人様Ⅲ
“合図は下った”。
舛田が伸ばしてきた手を逆手に持ち、勢いを殺されぬ間に、舛田を床に叩き落とす。
目を見開く舛田。その滑稽さに、笑みを向けた。
「っな!?」
「こいつらなんで!!?」
驚いて動けない舛田組の2人は、そこに立つ季龍さんと信洋さんの姿を目を見開いて見つめている。
季龍さんに視線を向けると、力強い視線が返ってくる。
「琴音!!」
力強い声に呼ばれ、体は引き寄せられるように動く。
まだ放心で動けない舛田組の2人の横をすり抜け、季龍さんに手を伸ばす。
「逃がすなっ!!」
舛田の声に、一瞬で我に帰る男たちの手が伸ばされる。
季龍さんの伸ばした手に自分の手が重なる。その瞬間、力強い力に引き寄せられ、あっという間に季龍さんの腕の中に入った。
「ッチ」
「捕らえろ!」
季龍さんの声が体を通して伝わってくる。
その声に、さっきまで眠りこけていたはずの組員たちが一斉に、舛田組の3人に襲い掛かる。