私のご主人様Ⅲ
信洋さんの口からそれが語られると、舛田の顔はますます険しくなっていく。
「っ計画通りだったら!あいつがキレたのはなんだ!!あの時、こいつを蹴りつけたあいつは手加減なんかしてなかったじゃねぇか!!!」
舛田があいつと言ったのは、季龍さんのこと。そして言っているのは、昨日学校で季龍さんが怒ったことだ。
確かにあれは季龍さんは本気で怒っていたこと。それが理解できないというような顔で信洋さんを睨む舛田。
そんな舛田を信洋さんは鼻で笑う。
「だーかーらー。言っただろ。ぜーんぶ、俺の作戦だって」
「あぁ!?…ッ!!まさか、てめぇ」
「その通り。俺がこの計画を若に報告したのは、昨日の夕方。つまり、1日前まで若はここちゃんとお前が接触していることはおろか、襲撃してきた奴のこともなーんにも知らなかったってわけ」
信洋さんの言葉に舛田は目を見開いたまま固まってしまう。
あり得ねぇ、嘘だと微かに聞こえてくる声は、あまりにも弱々しい。
確かに普通に考えたらおかしいのかもしれない。上の了解も得ずに抗争に直接結び付く事柄を処理し、行動を命じた。
一見すればそれは一種の反逆なのかもしれない。だけど、それだけの素質が信洋さんにはある。
だから作戦は決行された。これまでの行動が無駄になる前に…。