私のご主人様Ⅲ

暁side

突然倒れた琴音を受け止め、そのまま膝をつく。

奏多さんが琴音の肩をつかみ、仰向けにさせるなり額を手で覆う。

「…酷い熱だ。とにかく、部屋に運んでからだ」

壁に手をつき、立ち上がった奏多さんに従って琴音を横抱きにして立ち上がる。

無理してたんだろう。信洋さんが言うには、舛田組と永塚組の二重スパイのようなことをしていたらしい。

それに加えて、何者かに傷つけられていた。

1番近くにいたのに気づけなかった。琴音がわずかに出していたはずのSOSに気づけなかった。

琴音が隠してたとか、そんな言い訳も慰めもいらない。

琴音が傷ついた。

それ以外に事実なんかないのだから。
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