私のご主人様Ⅲ
かわいそうって、あの医者琴音のことを知ってるのか?
それとも、組の抗争に巻き込まれた上、こんな傷を負って倒れてしまった琴音への同情か?
分からない。だけど、その一言が自分には関係ないと線引きされているようで腹が立って仕方なかった。
「暁、風呂いっといで。今日は琴音ちゃんほったらかしておけないしさ」
奏多さんの言葉に我にかえる。
ダメだ。頭に血が上ってるせいで冷静になれてねぇ。
頭冷やすべきだ。
奏多さんの言葉に甘え、先に風呂に入らせてもらう。部屋に戻り、奏多さんと交代する頃には頭が冷えて、幾分か冷静になれた。
窓から外を見ても闇が続くばかりでよく見えない。でも、なにかを探すように闇を見続けた。