私のご主人様Ⅲ
「琴音、布団」
「イヤイヤ」
「嫌じゃねぇだろ!病人がっ」
しがみついてきて離れない琴音をどうすればいいのか分かんねぇ。
額に触れたらやっぱり熱い。風邪悪化したらどうすんだこいつはっ!
「奏多さん!手伝ってください!」
「まぁまぁ。…琴音ちゃん、暁着替えてくるだけだから離してあげて」
「…」
奏多さんの言葉に琴音は反応して、顔をあげる。それから、本当?と口が動く。
「本当だ!だから早く布団に…」
戻れという前に琴音は俺から離れ、ずるずると布団の中に戻っていった。
…なんだ、こいつ。意味分からねぇ…。
乱れた布団をかけ直した奏多さんは俺を見て笑う。
「琴音ちゃん朝からこんなんだから。ここにいるって言ったらまた寝るし、まぁ不安なんだと思う」
「そう…なんすか」
「とりあえず着替えといで。俺がついてるから」
「…分かりました」
今のを奏多さんにもしたってことだよな…。
確かに怖い思いはしてるはずだ。それで不安になるのも分かる。
…分かるけど、俺が行っても奏多さんは近くにいるのになんで怖がるんだ?