私のご主人様Ⅲ
いまいち納得はできなかったけど、とりあえず着替えるために部屋を出る。
…なんだ?やけに静かだな。
違和感を覚えながらもとりあえず部屋に向かって歩く。だけど、進むたびに違和感が増していく。
どうして誰ともすれ違わない?いつもなら1人や2人すれ違ってもいいはずなのに。
それに、どう考えても静かすぎる。
途中で足を止め、近くの襖に手を伸ばす。
「金瀬です!誰かいますか!」
声をかけても返事がない。襖を開け放ってもやっぱり誰もいない。
どうして誰もいない?…まさか、俺たちが寝てる間に何かあったんじゃ…。
とりあえず戻って奏多さんに相談しねぇと…。
「金瀬」
「ッ!?…青海…さん」
こちらに近づいてきた巨体に思わず肩が跳ねる。…気配、しなかった。こんな巨体で気配消されて近づかれると流石に驚く。
そんな俺の気持ちも知らず、青海さんは呼び捨てでいいと口にして、足を止める。