私のご主人様Ⅲ
「お嬢終わった~?」
「奏多!どこ行ってたの!」
タイミングよく戻ってきた奏多さんにお嬢かすぐに噛みつく。奏多さんは俺を見てあれ、といわんばかりの顔をして苦笑いを浮かべた。
「あれ、暁早かったんだ。すみません。お粥持ってきました」
「っもう!しょうがないから許す!」
「…え?奏多さんが作ったんすか!?」
土鍋に入ったそれは確かにお粥っぽい。だけど、今までまともに料理中に手を出すこともほとんどなかった奏多さんにお粥でさえ作れたのか疑問だ。
俺の不審感がもろに出ていたせいか、奏多さんは苦虫を噛んだような顔をする。
「いや、お粥ぐらいできるから」
「…うん、大丈夫。ちゃんとお粥」
「ってお嬢味見しなくても!!」
「味見!?そんなわけないじゃない!毒味よ!!」
「うわっもっと酷い…」
お嬢も同じことを思っていたらしい。ただ、俺より数十倍辛辣だ。
琴音は分かってないのか、熱で朦朧としてるのかぼんやりしたままだ。