私のご主人様Ⅲ

「ことねぇ、お粥食べれる?」

「…」

お嬢が声をかけると、琴音はゆっくり視線をお嬢に向け、瞬きする。

試しに少し冷ましたお粥を口元に近づけるけど、口を開けようとはしない。

「ことねぇ~あーんして、ね?あーって」

自分の口を開けながらあーと繰り返すお嬢を見つめていた琴音は、しばらくして口を開ける。

すかさずお粥を食べさせたお嬢は、おいしい?と聞きながらまた火傷しないように次の一口を用意する。

琴音の動きはゆっくりで、飲み込むまでにも大分時間がかかる。飲み込んだとしてもまた口を開けるまでに時間がかかった。

そのうち疲れたのか、倒れ込みそうになった琴音を奏多さんが背もたれになって支えながら食べさせる。

それでも、半分も食べきらないうちに琴音は半分寝始めた。

「琴音ちゃん、薬!薬飲んだら寝ていいからもうちょっと起きてて!」

「ことねぇあーして!あー!」

「琴音!寝るな!」

何とか声をかけまくって薬を飲ませ、直後に眠りに落ちた琴音に思わずため息をつく。

まだ熱も高いし、意識が朦朧としてるのも分かる。でも、まさか自分で飯さえ食えないほどとは思わなかった。
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