私のご主人様Ⅲ

その後、青海さんも混じって朝食をとっても、若たちは戻ってこない。

あえて誰も口にしないけど、いつになったら戻ってくるのか、時計を見上げたり、外の様子を気にすることが多くなる。

「…ん」

「琴音?」

「…ぅ」

時々目を覚ます琴音もどこか不安そうな顔をする。

こいつは若たちを見送ったんだよな…。そのせいで余計に不安なのかもしれない。

ただ時間が過ぎ、昼時になっていよいよ不安が押さえきれそうになくなってきたとき、にわかに騒がしくなった。

思わず玄関に向かうと、出ていた組員たちが戻ってきていた。

「「お疲れ様です」」

いつの間にか駆けつけていた奏多さんと声が重なる。

戻って来た人たちに怪我はない。しかも擦り傷とか、打撲とか。見える限りで軽傷すらない。

「おー」

「ただいまー」

なのに、なんか全員めちゃくちゃ疲れた顔だ。

…本当にカチコミに行ったのか?怪我人がいないなんてあり得ないだろ…。

思わず疑いたくなるくらい戻って来る人全員擦り傷すらない。ただ、異様に疲れた顔が目立つだけだ。
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