私のご主人様Ⅲ
「あ゛~しんどっ」
「信洋さん、お疲れ様です」
ふらふらとした足取りで戻って来たのは信洋さんで、靴脱いで上がる場所まで来ると、こちらに背を向け座り込む。
そのまま寝転がりそうな勢いの信洋さんは、俺たちを見て座る体制を戻した。
「青海から聞いてるよな~?悪かったな。声かけなくて」
「いや、それはいいんですけど…。終わったんですよね?」
「当たり前ー。舛田組はきっちり、潰してきた」
奏多さんも俺と同じ疑問を持ってたらしい。
信洋さんは当然と言うようにそれを肯定したが、やっぱり疑問が沸く。
なんで誰も怪我してねぇんだ?重傷者はいないにせよ、かすり傷や殴られた跡の2、3発甘んじて受ける人だって何人かは絶対にいる。
こんな誰も擦り傷すら作らずに戻る人が何人もいるなんて、普通ならあり得ない。