私のご主人様Ⅲ

「琴音ちゃん、気にしなくていいから」

「琴音の手料理食べれるってだけで喜ぶだろ。この1週間出前とか弁当ばっかだし…」

「!…ごめん…………な、さい」

そうだ。私が寝込んでるからみなさんの食事用意できなかったんだ。

お仕事まともにこなせないなんて、使用人失格だ…。

って、私ここに来てから使用人失格なこと何回やってるんだろう。あ゛ぁ…もうやだなぁ。

ため息をこぼすと、頭を撫でられて顔をあげた。

「ッ!?」

「…なんだ?」

き、季龍さん近い…。目と鼻の先にある顔に思わず驚く。あ、あれ季龍さんまさかずっといたの…?

そんな疑問もあることながら、季龍さん、やっぱりきれいというか、かっこいいんだ。クラスメイトたちが大騒ぎするのも分かるかもしれない。

なんでこう、立場のある人って容姿端麗な人が多いんだろう。お陰様でこっちは妬みに僻みで恨まれてばっかりだ。

「…琴音?」

「……な、んでも…ないです……」

「…ならいいが。…梨々香、なんだ」

「?」

奏多さんたちの方を見ると、いたはずの梨々香ちゃんがいない。下に視線をずらすと、足元でしゃがみこんでた。
< 161 / 286 >

この作品をシェア

pagetop