私のご主人様Ⅲ
「琴音ちゃん、気にしなくていいから」
「琴音の手料理食べれるってだけで喜ぶだろ。この1週間出前とか弁当ばっかだし…」
「!…ごめん…………な、さい」
そうだ。私が寝込んでるからみなさんの食事用意できなかったんだ。
お仕事まともにこなせないなんて、使用人失格だ…。
って、私ここに来てから使用人失格なこと何回やってるんだろう。あ゛ぁ…もうやだなぁ。
ため息をこぼすと、頭を撫でられて顔をあげた。
「ッ!?」
「…なんだ?」
き、季龍さん近い…。目と鼻の先にある顔に思わず驚く。あ、あれ季龍さんまさかずっといたの…?
そんな疑問もあることながら、季龍さん、やっぱりきれいというか、かっこいいんだ。クラスメイトたちが大騒ぎするのも分かるかもしれない。
なんでこう、立場のある人って容姿端麗な人が多いんだろう。お陰様でこっちは妬みに僻みで恨まれてばっかりだ。
「…琴音?」
「……な、んでも…ないです……」
「…ならいいが。…梨々香、なんだ」
「?」
奏多さんたちの方を見ると、いたはずの梨々香ちゃんがいない。下に視線をずらすと、足元でしゃがみこんでた。