私のご主人様Ⅲ

「わ、私のことは気にしなくていいからっ!」

「はぁ?」

明らかに挙動不審になった梨々香ちゃんに季龍さんは眉を潜める。

そのまま後退していく梨々香ちゃんに季龍さんはますます眉を潜めたけど、やがてため息をついた。

「琴音、風邪のことは気にするな。悪いのはほぼ信洋だ」

「えー、若俺のせいなの~?」

突然会話に入ってきた信洋さんは、あたかも始めからここにいましたと言うような顔で笑っている。

もういちいち驚いてられないや…。季龍さんも驚く様子もなく、信洋さんを睨み付ける。

「お前が琴音に無理を課したんだろうが。少しは反省しろ」

「まぁ、それについては悪かったって。…ここちゃん、後で話したいことあるから夕飯終わったら部屋行くね」

「コク」

「それじゃー冷めちゃうし、早く食べようぜ~」

手分けして大広間に食事を運ぶと、待っていたらしい人たちが私を見て笑ってくれる。中には涙ぐむ人までいた。
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