私のご主人様Ⅲ

「琴音さん!雑巾掛けするんすか!」

「俺たちもやるっすよー!」

掃除機をかけ終わったタイミングで現れたのは相須さんと瀬名さん。遅れて呆れ顔の森末さんもやって来た。

雑巾掛けレースかな?久しぶりだから少し、ほんの少しわくわくする。

そんな私の気持ちが伝わったのか、今日は負けないっすよと挑戦的な笑みを向けてきた瀬名さんにもちろん勝負を買った。

「あの、琴音ちゃん病み上がりなんですが」

「俺負けたら琴音さんの好きなアイス買ってくるっす!俺が買ったら明日の夕飯決める権利でどうですかっ!」

「なら俺もッ!」

「先輩、聞いてます?」

若干キレ気味の奏多さんを恐れもせず、仲良く雑巾を絞って長い廊下の隅っこへ。

奏多さんと暁くんは呆れながらも邪魔にならないように手短な部屋から様子を見てくれていて、森末さんは以前と同じくスターターをしてくれた。

「ではいきますよ。よーい…スタート!」

「「うおぉぉぉぉおおおお!!!」」

スタートと同時に駆け出していく相須さんと瀬名さん。中々のスピードです。

でも、私の敵じゃないっ!

「っえぇ!?」

「まてぇぇえええ!!」

ペースダウンした2人をそそくさと抜かして突き当りでUターンした。
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