私のご主人様Ⅲ
そのままでいると、頭に重みを感じて顔をあげる。
笑いを堪えたような季龍さんの顔にますます顔が熱くなるのを感じる。そのまま2、3回頭を撫でられて季龍さんは屋敷の奥に入っていく。
もちろん私はその場で顔を伏せてお団子になってました。
その後、食材の配達に来た人にまで見られて更に恥ずかしい目にあったのは別の話…。
「琴音、いい加減機嫌直せ」
「琴音ちゃん、かわいかったからいいんだよ?」
夕食の準備をしながら膨れていると、暁くんにはいい加減にしろと言わんばかりのめで見られ、奏多さんには苦笑いを向けられる。
自分でもバカだったって分かってるけど配達が来たことは教えてくれればよかったのに…。
「それにしても、琴音ちゃん雑巾掛け速いよね。あれ練習でもしたの?」
「“中学校3年間雑巾掛けしてました”」
「…学校で3年間雑巾掛けしてた?」
「コクコク」
「それは速くなるかもね」
少しゆっくりはっきりと口にすると奏多さんは何とか読み取ってくれる。思わず笑顔で頷くと、よしよしって頭を撫でられた。