私のご主人様Ⅲ
「宮内 陽介が入院してる先は分かったんだけどねぇ」
っ…やっぱり聞き間違いじゃない。
宮内 陽介はお父さんの名前だ。で、でも入院してるってどういうこと!?お父さんに何が…。
嫌な予感に血の気が去っていくのがわかる。
手が勝手に震えはじめて、それが全身に広がっていく。
『ごめん…ごめんね。琴葉…』
目の前が歪む。足がふらふらして、頭が痛くなる。
『こと…は…』
痩せていく体。誰がどう見ても、病的なやつれ方をして行く姿に、誰にも気づかなくて…。
『………こ、…………は……………』
私は、目の前でお母さんを…。
「でも、このままだと確実に死ぬよ」
「ッ!!?」
耳に飛び込んできた声に、殴られたような衝撃を受ける。
…嫌だ。嫌、嫌、嫌、嫌、嫌!!
もう、置いていかれたくないっ!!
立ち上がり、閉じられた襖を開け放つ。その瞬間季龍さんと信洋さんの視線を一身に受ける。