私のご主人様Ⅲ
「…ごめ、……ん………なさい」
「いいのいいの。とりあえず、お父さんの件は俺に任せて」
「…コク」
信洋さんに支えられて立ち上がるけど、まだ手足は震えたままで止めることができなかった。
両手を握り合わせ、何とか震えを止める。
「ここちゃん、ご飯食べれそう?」
「…」
「行くだけ行こうか。今日は無理して食べなくても、俺が許しちゃう」
「…“すみません”」
頭を撫でられ、肩を抱かれながら大広間に向かう。かなり待たせたはずなのに、組員さんたちはなにも言わなくて、何事もなかったようにすっかり冷めてしまった食事をとる。
でも、やっぱり喉を通らなくてほとんど食べられなかった。
「琴音ちゃん…」
「奏多、暁、今日はいい。琴音、来い」
「若、でも…」
「今日は俺が見る。お前らは下がれ」
季龍さんに腕を掴まれて立ち上がる。心配そうな顔をする奏多さんと暁くんになにも伝えられないまま、季龍さんに引きずられるように部屋を出る。