私のご主人様Ⅲ
「琴音さん、朝食が終わったら旦那様のお部屋に来ていただけますか?旦那様がお呼びです」
「コクン」
「では後程、お願いします」
笑みを浮かべて田部さんは台所から出ていく。…用ってなんだろう。
疑問は残るけど、今は考えている余裕はない!
大急ぎで朝食の準備を進めていると暁くんと奏多さんが起きてきて手伝ってくれる。
そうして準備できた朝食を、大広間でとって、組員さんたちは急がしそうに屋敷を出ていったり、お部屋に戻っていく。
「琴音ちゃん、今日もうまかったぞ~」
タバコをくわえた平沢さんが部屋を出ていく前にそんな言葉と共に頭をグシャグシャに撫で回してくる。
抵抗むなしく髪はグシャグシャになってしまって、かんざしを抜き取ってもう1回やり直すはめになった。
「ムッ」
「なんだ?ご機嫌斜めか?あめやるから機嫌直せ」
目の前に揺らされるあめ玉。こんなんじゃ許さないもん…。…もらったけど。
あめを口のなかで転がしながら片付けている最中にも平沢さんに頭を撫でられた。