私のご主人様Ⅲ
「言いたいことはそれで全部か?」
源之助さんの声に空気が引き締まったように感じる。
源之助さんは、怒りも悲しみも見せずただ希龍さんを見つめ返していた。
「…確かに、今じゃなくてもよかった。お前の不安も分かる。だが、言えば琴葉ちゃんを連れ出せんだろう」
言われた言葉に、さっきの推測は正しかったんじゃないかと思う。
源之助さんは、何か目的があるの?私が何か知っていることが必要なの…?
考えるほどに頭が混乱する。
季龍さんも何かを察したのか眉を潜め、私に視線を向ける。
でも、その探りはすぐさま終わりを告げた。
「…親父の考えはわかんねぇ。でも、こいつを危険に巻き込むことだけはやめてくれ」
「あぁ、もちろんだ。わしも琴葉ちゃんを危険にさらすくらいなら、やらないよ」
季龍さんが引き下がったことで、源之助さんも微笑んだ。
引き締まった空気が抜け、思わずため息をこぼす。