私のご主人様Ⅲ
…え?
頭がついていない。何が、どうなってる…?
混乱して整理がつかない頭。呆然としたまま、動けないでいると、背中に回った腕に力がこもった。
「悪かった」
「…」
「俺が悪い。だから、もう怖がるんじゃねぇ」
「…ぇ」
耳元で囁かれた言葉に、何を言われているのか分からなかった。
でも、徐々に言葉の意味を理解して、自分でも顔が青ざめていくのが分かる。
季龍さんに、謝られてる。
そのことを理解した途端、それまで全く言うことを聞かなかった体は驚くほど簡単に動く。
季龍さんから離れ、床に膝をつき、頭を下げた。
「申し訳ありませんっ!全て私のせいです。申し訳ありません…」
「琴音」
「申し訳ありません…。私が、季龍さんの言う通りに出来なかったから…」
「琴音、やめろ!」
肩を捕まれたと同時に、力強く上げられる。抵抗できることなく、顔を上げさせられると、季龍さんはまた私を抱き締めた。