私のご主人様Ⅲ

「ここちゃーん!」

「ッ!?」

部屋に沈黙が落ちかけたその瞬間、ドアが開け放たれて信洋さんが顔を見せる。

もちろん飛び上がったけど、信洋さんは構わず私の両手をつかんで顔を寄せてくる。

「今日の晩ご飯、すき焼きね。親父さんが今日のお詫びっだって牛肉買ってくれるってさ」

「…コク」

「あ、ここちゃんは野菜切って鍋置いとくだけでいいよ。すき焼き奉行が何人かいるからそいつらにはし握らせとこうぜ」

時計を見上げればもう17時だ。

暁くんががお休みもらってるから1人でやらなきゃ。いくら野菜切るだけと言えど量が量だから早めにやらなきゃ。

イメージは居酒屋さんの仕込み?

冗談は置いといて、季龍さんに視線を向けると頷かれる。行っていいってことだよね。

信洋さんに手を離してもらって急いで台所に向かった。
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