私のご主人様Ⅲ

季龍side

出ていった琴音を見送ったところで奏多と暁がいないことを思い出す。

めんどくせぇが仕方ねぇか。

立ち上がり、琴音の後を追おうとしたところを信洋が前を塞ぐ。

「どけ信洋」

「若にちょーっと話があるんだよね」

「琴音の親父のことなら、さっき…」

「違うよ。その話じゃない」

「ならとっとと言え。琴音の見張りがいねぇ」

「森末たちがさっき気にしてたから勝手に追いかけるから大丈夫だって。若にそろそろ答え合わせしてもらおうと思ってさ」

信洋の意味深な言葉に眉を潜める。

なんだ。こいつが見透かすような目をしたときは要注意だ。必ず何かある。

「答え合わせ?」

「うん、そう。…若、ここちゃんに重ねてる子がいるでしょ」

疑問ではなく、断言。その確信はどこから来るのか分からねぇが、間違っていないことだけは確かだ。

確かに俺は琴音にあいつを…“琴音”を重ねている。数年前、たった一度だけ会ったあいつに。

だから、分からねぇ。このもやもやが琴音に対してなのか、重ね合わせて見ている“琴音”に対してなのか…。
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