私のご主人様Ⅲ

ため息をつきながら、今度こそ部屋を出て台所を覗く。

「琴音さんっ!なんでこれ連なってんすかね!?」

「うおーっ…繋がった」

「…」

相須と瀬名が手にしている白菜とネギは完全に切れてねぇ。

それを見てる琴音の顔は苦笑いだ。

…あいつが、琴音なのか。そうだと言われて頭では理解しても受け入れられるかは別。

それに、どんな顔をすればいいのか分からなかった。

「…若?どうしたんすか」

「暁…。お前、休暇だろ」

明らかに手伝うつもりで歩いてきた暁の姿に眉を潜める。暁はそんな俺の視線を気にした様子もなく、足を止めないまま口を開く。

「休暇はいただいたっすよ。…俺は日課をこなしに来ただけっす」

「…」

台所に入る直前で足を止め、頭を下げた暁は台所の中に入っていく。

琴音は慌てたが、それを小突いただけで止めてさっさと作業に加わっていく暁。そんな暁に琴音は頬を膨らませたが、その顔は嬉しそうで、暁の隣に並んで準備を再開させる。
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