私のご主人様Ⅲ

そんなわけで入れ替わりで男子も着付け。

とはいっても、自分で着られる人はいないのか着付けができる女子はほとんど残ってる。

「琴、そっちお願い」

「お願いしまーす」

華さんに背を押されて、クラスの中で比較的人気だったはずの男の子から浴衣を渡される。

普段なら話すだけでも後から呼び出しものだったとは思うけど、今日はそんな非難の声も、横やりを入れてくることもない。

「季龍くぅん、制服脱いでくれないかなぁ?」

「私たち手伝うよ~」

腕を組んで我介さずと言わんばかりの季龍さんに、群がるファンの人たちと高崎さん。

見事な猫なで声で、こっちの背筋がゾクゾクしてしまいそう。

もちろん季龍さんは完全に無視されてるけど…。
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