私のご主人様Ⅲ

「葉月ちゃんも永塚のこと気になるの?」

「?」

話しかけられて視線を戻す。そのまま首をかしげるとあれ?と言わんばかりの顔をされた。

「好きじゃない?永塚のこと」

「フルフル」

「じゃあ好き?」

「…?」

好きってどういう意味なんだろう。

人として好きかと言われれば頷ける。でも、もしその意味が恋愛を意味するなら、そんな感情知らない。

いや、ご主人様に対してそんな感情いらないから、持つこともない。

だからと言って首を横に振るのも、どの意味かわからないから下手にできない。

「そうなの?…なら、俺狙ってもいい?」

「???」

「葉月ちゃんかわいいじゃん。だからなんか見てること多くてさぁ。…俺と付き合ってみない?」

「!?」

「はーい。琴音ちゃんに口説くの禁止ー!」

突然間に割って入ってきた麻琴さんは、着付けを終えた男子の前に立って私を背に隠した。
< 204 / 286 >

この作品をシェア

pagetop