私のご主人様Ⅲ
「葉月ちゃんも永塚のこと気になるの?」
「?」
話しかけられて視線を戻す。そのまま首をかしげるとあれ?と言わんばかりの顔をされた。
「好きじゃない?永塚のこと」
「フルフル」
「じゃあ好き?」
「…?」
好きってどういう意味なんだろう。
人として好きかと言われれば頷ける。でも、もしその意味が恋愛を意味するなら、そんな感情知らない。
いや、ご主人様に対してそんな感情いらないから、持つこともない。
だからと言って首を横に振るのも、どの意味かわからないから下手にできない。
「そうなの?…なら、俺狙ってもいい?」
「???」
「葉月ちゃんかわいいじゃん。だからなんか見てること多くてさぁ。…俺と付き合ってみない?」
「!?」
「はーい。琴音ちゃんに口説くの禁止ー!」
突然間に割って入ってきた麻琴さんは、着付けを終えた男子の前に立って私を背に隠した。