私のご主人様Ⅲ

「なんで麻琴に邪魔されなきゃいけないんだよ」

「琴音ちゃんは麻夏のなの~!」

「はぁ?意味わかんねぇ」

なんで険悪ムード?今から文化祭はじまるのに。

どうしようかと様子を見守っていると、背後から引き寄せられて抵抗も出来ないまま誰かに抱き寄せられる。

ううん、抵抗しなかっただけ。顔をあげればやっぱり季龍さんがいて、首をかしげた。

「永塚、まだ着替えてねぇの?早くしろよ。あいつらに手伝ってもらえば?」

ゆ、勇者なのか気にしてないのか…。

着付けをした男子が季龍さんを茶化すように、群がっていた女子たちを指さす。

季龍さんは眉間のシワを深くさせ、女子たちを見て舌打ちすると、私を離して自ら女子たちの方へ向かう。

その途端、目を輝かせるファンの人たち。だけど、季龍さんは彼女たちが持った浴衣を奪い取るように持つと、すぐに踵を返して戻ってきた。

「琴音」

「…コク」

やれと言うことらしい。

素直に受け取って近くのいすに帯を置いておく。

その間に制服を脱ぎ始めた季龍さんから制服を受け取って軽く畳んでいすに置く。
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