私のご主人様Ⅲ

麻夏くんとドアを見つめていると、唐突にスパーンッと開け放たれる。

そこにいたのは鬼のような顔をした女子の大軍。その顔は、教室の隅で腕を組んでる季龍さんを見つけた瞬間、感激の色に染まり、大歓声が上がった。

もちろん、反射的に耳を塞いだのはしょうがない…。

「2人ね!あの席座るからッ!」

「!?」

「私たち3にーん」

案内もしてないのに勝手に入ってきては席を埋める人たち。あっという間に席は満席になって、廊下にも人が溢れかえってる。

そして、席を埋めた女子生徒たちが見つめる先は季龍さんただ1人。

…嘘でしょ?季龍さんの人気ぶりを再確認する羽目になった。

思わず呆然としていると、無言でやって来た華さんによって開いていたドアが閉められ、くるりと教室内の方に顔を向けた。

「今から15分後に全員、出てってもらうので!!あと、注文しない人は今すぐ出てってください!!営業の邪魔!!!」

「ッ!?」

「はぁ?意味わかんな…」

「うちのクラスはカフェなんです!売上を 競ってんのに、買わない客は客として認めないッ!!」

「…確かに」

文句をいいかけた先輩にも臆さず一刀両断して見せた華さんに、麻夏くんも思わず同意してしまう。

反論など認めないと言わんばかりの態度を一貫する華さんに対してそれ以上の抗議もでなかった。
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