私のご主人様Ⅲ
「琴音」
「っん…」
顔をあげたとほぼ同時に塞がれた唇。
おかしいな。いつもなら1回だけなのに…。
頭を撫でられて、そのまま肩を抱き寄せられる。
どうして季龍さんはこんなことするんだろう。何を求めてるんだろう。それを拒まない私も、何やってるんだろう…。
不意に予鈴か鳴る。教室に戻らなきゃ。
立ち上がろうと床に手を着くと、なぜか肩を掴む手に力が入った。
「…琴音、午後は戻らねぇ」
「?」
唐突な言葉に理解が遅れる。
午後の授業をサボるってこと?授業をサボるなんて滅多にない季龍さんが、そんなことを言うなんて珍しい。
床についた手を離すと、季龍さんは私の手をとって、何かを渡してくる。…手紙?
季龍さんの手が離れ、手紙を裏返すとそこに書いてあった文字に目を疑った。