私のご主人様Ⅲ
『琴葉へ』
と書かれた文字は、間違いなくお父さんの字。
季龍さんを見ると、私が持つ封筒に視線を落としたまま口を開く。
「信洋が会いに行った。お前が生きていることを写真で見せて証明したらしい。それは、お前に渡してほしいと懇願されて受け取ったと言っていた。まぁ、中は先に確認してるが」
「…」
「読めよ。それは、お前のもんだ」
本当に約束を守ってくれたんだ。
それだけでも、十分なのに手紙まで受け取ってくれて、私に届けてくれた。
それがどんなに恵まれていることなのか、想像もつかなかったけど、大切にされていることだけはしっかりと自覚した。
「…あ、ありが…とう……」
「早く読め」
頭を撫でられる。手紙に視線を落とし、恐る恐る封筒を開き、1枚の手紙を取り出すとそれを開いた。