私のご主人様Ⅲ

季龍さんの髪に触れる。少し固くて、毛先がチクリと手に刺さる。

そんな髪を、何度も撫でる。刺が消えてなくなってしまうように。

嘘を剥がすように。強気な心を休ませるように。

「…琴音」

「はい」

「…お前は必ず守る。…だから、傍にいろ」

「…季龍さんの傍にいます。…あなたがそれを望む限り、ずっと」

自然と自分の口からこぼれた言葉に、季龍さんは驚いたのか顔をあげる。

正直、私自身も驚いてる。だけど、それは出さずに季龍さんに微笑んだ。

目を見開いていた季龍さんも、やがて呆れたような、嬉しいような。そんな顔をして私の頭に手を回す。

季龍さんの首に両手を回す。そんなことは初めてで、すごくドキドキする。

静かに重なった唇は甘くて、頭がふわふわする。
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