私のご主人様Ⅲ




ご主人様のことを好きになってはいけない。



だって、使用人とご主人様が結ばれるなんていう奇跡は起こるはずがないから。

自分の立場をわきまえて動くのが使用人だから。



戻ろう、使用人に。

今までの夢物語はおしまいにして、心に鍵をかけて。

ただの使用人に、永塚組の葉月琴音に戻るんだ。

今なら戻れる。今なら、きっと…きっと。


気づきたくなかった。

いつから、私はいつからこんな風に季龍さんを…。

どうか、どうか、この思いが季龍さんに届きませんように。

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