私のご主人様Ⅲ

部屋に戻っていった季龍さんを見送ってから私も部屋に向かう。

とりあえず着替えなきゃ。

「琴音」

「暁、どうした?」

部屋の襖のところで足を止めている暁くんに首をかしげる。奏多さんも不思議そうな顔をして暁くんを見てる。

暁くんの表情は困ったような、迷っているような顔をする。

「…お前、季龍さんのこと、好きなのか?」

「…」

暁くんの言葉にドキリと心臓が嫌な音を立てる。

まるで見透かされているような目に、視線をそらした。

「暁~お前まで野暮なんて珍しいね。嫉妬?」

「そんなんじゃありません」

奏多さんがニヤニヤした顔で暁くんの肩を掴むけど、暁くんはそれを振り解く。

それを見つめていると、不意にチャイムの音が鳴り響く。

あ、食材が届いたのかも…。奏多さんと暁くんもふざけるのをやめて、玄関先の方へ視線を向ける。

「琴音ちゃん、着替えといてね」

「コク」

「暁、行くぞ~」

「…はい」

暁くんは一瞬私に視線を向けたけど、奏多さんのあとについていった。
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