私のご主人様Ⅲ

2人が玄関に向かっていったのを見送って、襖を閉める。

かばんを降ろし、制服を脱ぎながらさっきの暁くんの顔がちらついて手が止まりそうになる。

暁くんはきっと気づいてる。

もっとうまく隠さなきゃ。もっと、もっと、うまく…。

着物に着替え終え、簪で髪をまとめる。鏡に映った自分を見て、頬を叩く。

大丈夫、大丈夫だから…。

普段通りに、ちゃんとしなきゃ。

顔をあげる。よしっ!

気合いをいれて、襖を開けた。

「おっと…」

「っ!?」

出会い頭にぶつかりそうになって、反射的に1歩引く。お互いに固まって、一瞬の沈黙が落ちる。

「お、女の子?」

「…?」

だ、誰…?

多分、高校生くらいの男の子は、茶色に髪を染めていて、爽やかな雰囲気を漂わせてる。

顔は合わせたことはない。まさかお客さん?でも、誰も案内してる人いないし…。この人何者?
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